刑事事件

被疑者弁護(加害者側)

  弁護窃盗,暴行等何らかの犯罪の嫌疑を受けた時,その嫌疑を受けた人は警察等の捜査機関から「被疑者(容疑者)」として扱われます。

 被疑者となった場合,主に犯罪の捜査を行う警察官,犯罪の捜査と被疑者の処分決定を行う検察官により取調べを受けます。
この時,当該被疑者は,逮捕されることで最長78時間の身柄拘束を受けることがあります。さらに,その被疑者が,逃亡や証拠隠滅を図ると疑われる事情があると検察官が判断した場合には,裁判所の勾留決定により10日から20日程度の身柄拘束を受けることがあります。
この逮捕,勾留による身柄拘束は,警察署内に身柄を留め置かれるのが通常です。被疑者の段階においても,弁護士を味方として弁護活動を行わせることが可能です。
 被疑者や被告人の弁護をする弁護士を「弁護人」といいます。被疑者段階では,窃盗,傷害,詐欺等「長期3年を超える懲役若しくは禁固にあたる事件」(被疑者国選対象事件)の嫌疑の場合でありさらに自ら弁護士を雇う資産がなければ国が決めた弁護士を国選弁護人として依頼することが可能です。
また,国が決めた弁護士ではなく自由に弁護士を選択したい時や被疑者国選対象事件以外の場合,私選弁護人を雇うこともできます。被疑者段階の弁護人は,

 (1)被疑者が,犯罪の嫌疑につき無実等を訴える時には,被疑者の無実等を導く証拠の収集や被疑者に対する警察等の捜査につき不当または違法なものが無いかどうかのチェックをします。他方,

 (2)被疑者が,犯罪の嫌疑を認めている場合には,被疑者に下される処分が軽くなるように,被害者との示談交渉等を行います。

被告人弁護

 何らかの犯罪の嫌疑を受けた被疑者は,検察官により「不起訴処分」または自ら罪を認めて罰金を支払う「略式手続」等の処分を受けた場合,釈放されます。

これに対して,「公判請求(起訴)」の処分を受けた場合,被疑者は刑事裁判にかけられることとなり,「被告人」となります。
 被告人となった場合も,自ら弁護士を雇う資産がない等の事情から国が決めた弁護士を国選弁護人として依頼することが可能であり,また自ら私選弁護人を雇うこともできます。被告人段階の弁護人は,

 (1)被告人が,公判請求を受けた犯罪につき無罪等を訴える場合には,被告人の無罪等獲得のために必要である裁判内外での弁護活動を行います。他方,

 (2)被告人が,公判請求を受けた犯罪を認める場合には,判決により処される刑罰が軽くなるように被告人に有利な事情を裁判にて主張しその証拠を提出したりします。

なお,公判請求を受けた後,被告人が逃亡や証拠隠滅等の可能性があることを理由に身柄拘束(勾留)を受け続けることがあります。この勾留につき,公判請求を受けた後であれば,保釈を裁判所に申し立てることが可能であり,裁判所が保釈を許可すれば被告人の身柄拘束が解かれます。弁護人は,この保釈請求に必要な手続も行います。

被害者参加制度(被害者側)

 刑事事件により被害を受けた方で,加害者が被告人として刑事裁判を受けることになった時,その裁判に被害者として参加する制度が2008年12月1日より導入されました。
ただし,被害者として参加できる条件として,刑事裁判の罪状が,殺人罪,傷害致死罪,強盗致死傷罪,傷害罪,強制わいせつ罪,強姦罪,自動車運転過失致死傷罪,業務上過失致死傷罪,逮捕及び監禁の罪,誘拐や人身売買の罪,以上の犯罪の未遂罪等,比較的重い犯罪に限られます。暴行罪,窃盗罪,詐欺罪,強盗罪の被害者の場合,被害者参加制度を用いて刑事裁判に参加することはできません。
 被害者参加を希望する場合,被害者本人や法定代理人(未成年者の両親など),被害者が死亡した場合等における近親者(配偶者,直系親族,兄弟姉妹)が被害者参加人として刑事裁判に参加し,検察官と事件に関する協議をしたり,裁判に出廷した証人や被告人に質問をしたり,事実関係や刑罰等について意見表明をすることができます。

これらの行為について,被害者は,弁護士に委託することが可能です。弁護士を私選で自由に雇うことができますが,経済的に余裕がない場合には,国選で雇うこともできます。

損害賠償命令制度

 刑事事件の被害者は,加害者と示談締結に至らなかったとき,不法行為を受けたことを理由として加害者に対して損害賠償請求をすることができます。
この損害賠償請求は,通常,民事事件として民事裁判等で請求するのが通常です。例外として,殺人罪,傷害致死罪,強盗致死傷罪,傷害罪,強制わいせつ罪,強姦罪,逮捕及び監禁の罪,誘拐や人身売買の罪,以上の犯罪の未遂罪等の被害者またはその相続人は,刑事裁判を担当した裁判所に,加害者に対する有罪の言い渡し後,刑事裁判の成果をそのまま利用して引き続き損害賠償に関する結論を出してもらうという損害賠償命令制度を利用することができます。

 この損害賠償命令制度は,被害者にて刑事裁判とは別に加害者に対する損害賠償請求のための民事裁判を提起することと比較してその負担が軽くなっています。
損害賠償命令制度は,被害者参加をしなくても可能です。ただし,被害者参加制度と異なり,業務上過失致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪は含まれません。すなわち,交通事故被害の場合は利用できないことになります。

 損害賠償命令制度利用について弁護士に依頼することも可能です。